新しいくすりができるまで
基礎研究
新しい物質を作ったり、天然に存在するたくさんの物質のなかから「くすりの候補」を見つけます。
非臨床試験
動物や培養細胞を用いて有効性(効果)と安全性(副作用)を調べます。
治験
国の法律に基づいた厳格なルールのもとで、人に対する有効性や安全性を調べます。
第Ⅱ相、第Ⅲ相試験ではプラセボ※1を使用することがあります。
【第Ⅰ相】
健康な人
安全性や、体内に入ってどのように変化して
排泄されるのかを調べます。
【第Ⅱ相】
少数の患者
有効で安全な使い方・量(用法・用量)を調べます。
【第Ⅲ相】
多数の患者
すでに発売されている薬などと比較し、
有効性と安全性の最終確認をします。
※1 外観は薬と同じですが、薬の成分を含まないもののことです。「このくすりは効き目がある」と思い込むことで症状が改善することがあるため、くすりの効果を正しく判断する目的でプラセボを用いて比較する場合があります。
審査と承認
治験や非臨床試験の結果を国(厚生労働省)に提出して審査されます。
承認されると「くすり」として使用できるようになります。
「くすりの候補」が「くすり」として発売される確率は1万分の1程度で、私たちの手に届くまでには10年以上かかるといわれています。
製造販売後調査
「くすり」として発売された後も有効性と安全性に関する情報を集め、「くすり」の正しい使い方や改良に役立てます。
治験の流れ
治験に参加される方の安全を守り、信頼できるデータを集めるためには守っていただきたいことがあります。
詳しくは説明の際に手渡される「説明文書」をご覧ください。
途中で参加をやめたくなったらいつでもやめることができます。医師や治験コーディネーター※2に伝えてください。
※2 治験コーディネーターとは、患者さんの安全を守り、かつ信頼性の高い研究が円滑に行えるよう病院内の各部門や製薬会社・研究者の間を調整する専門スタッフです。
治験の説明
治験の参加条件に合致している方に医師が声をかけます。
医師や治験コーディネーターから、治験について、目的や方法、予想される効果や副作用などの詳しい説明を聞きます。
わからないことや不安なことは遠慮なく質問してください。
同意・署名
参加するかどうかは、患者さんの自由です。治験について十分に理解いただき、参加する意思が決まりましたら、同意書に署名をします。
診察・検査
参加条件に合うかどうか、診察や検査を受けます。結果により参加できない場合もあります。
治験薬の使用
治験の計画書で定められた期間、定められた方法でくすりを使います。
決められた用法・用量を守って服用してください。
飲み忘れた場合は必ず医師や治験コーディネーターに伝えてください。
診察・検査
決められた期間、スケジュールに沿って診察や検査を受けます。通常の診察より検査や来院の回数が多くなることもあります。
決められた日に受診してください。受診できない場合は必ず治験コーディネーターに連絡をしてください。
体の小さな変化でも医師や治験コーディネーターに伝えてください。
終了
治験薬の使用を終えた後、有効性と安全性の確認のための検査を行い終了となります。治験終了後の治療については、医師と相談の上、あなたの病状に応じて決定します。
治験に参加するメリット・デメリット
メリット
医師に加え、治験コーディネーターという治験専門のスタッフが治験に関わる細やかなケアを行います。
体調の変化に早く対応するため、通常より細やかな診察・検査があります。
薬や検査費用の一部を治験で負担してもらえます。(保険外併用療養費制度)
受診にかかる交通費などの負担を軽減するために負担軽減費が支払われることがあります。
デメリット
期待する効果が必ず得られるとは限りません。
今まで知られていない副作用がでる可能性があります。
いつもより診察や検査の回数が多くなることがあります。
決められた日程で診察・検査を受けて、薬の飲み方や生活の仕方など守らなければならないことがあります。
治験に参加している間は使用できない薬や治療があります。